東大×东大(東京大学シリーズ講座)その三:菅豊教授『あなたが微博で転送している錦鯉がどこから来たか知っていますか?――グローバル化時代・インターネット時代の文化変容のダイナミクス』

文章来源:外国語学院发布时间:2019-10-08浏览次数:277

2019年9月24日、外国語学院が東京大学の菅豊教授をお招きして、「中国錦鯉」現象から見るグローバル化時代・インターネット時代における文化の異種混淆性に関する講演会を開催しました。

菅豊氏は日本民俗学をリードしている中堅研究者であり、中国やアメリカにおいても知名度が高く、中国・山東大学文化遺産研究院流動崗教授、中央民族大学民族学與社会学学院客員教授、復旦大学文史研究院、米国ハーバード大学Visiting Scholar等を歴任しました。日本と中国をフィールドに、地域社会における自然資源や文化資源の利用や管理のあり方、コモンズ論、無形文化遺産の管理論、伝統文化のトランス・ナショナリズムなど、多岐にわたる問題を学際的に研究しており、また、新しい野の学問や野の芸術論に関する理論的研究も行っています。

代表作には単著『「新しい野の学問」の時代へ―知識生産と社会実践をつなぐために―』 (岩波書店、2013年)、『川は誰のものか』(吉川弘文館、2006年)、共著 『「二〇世紀民俗学」を乗り越える―私たちは福田アジオとの討論から何を学ぶか』(岩田書院、2012年)などがあります。

今回の講演会では、菅豊氏は中国のネットで流行している「中国錦鯉」現象を題材にしました。今までの文化の異種混淆性に関する先行研究は、ほとんど国家間・民族間における文化の越境について論じられてきましたが、菅氏はそれだけでは「中国錦鯉」現象を説明することができないと指摘し、三つの越境(trans)、つまり、国家間・民族間の越境、現実世界(off-line world)とインターネット上の世界(on-line world)との間の越境、主体性をもったモノとモノとの間の越境という観点から「中国錦鯉」現象をとらえました。

日本錦鯉の歴史や発展を遡る上で、菅氏は、三つの越境による錦鯉文化の異種混淆現象や、そのもとで生み出された「第三の文化」を詳しく説明しました。それは文化の異種混淆性の研究に新たな視点を提供しただけでなく、新しい文化を生み出すプロセスにおける人間共通の創造力にも光を当てたと考えられます。

講演内容は極めて充実しており、来場者は百枚余りの写真に惹きつけられながら、興味津々に拝聴していました。質疑応答のときも、深くて面白いやりとりが行われ、2時間半の予定だった講演会は3時間ほど続いていました。


(文:趙楊 写真:王頤寧)