東京大学菅豊教授、山東大学張士閃教授学術対談:定式化したフィールドワークから「温もりのあるフィールドワーク」へ

文章来源:外国語学院发布时间:2019-10-08浏览次数:271

2019年9月25日午後、東京大学菅豊教授、山東大学張士閃教授による学術対談「定式化したフィールドワークから『温もりのあるフィールドワーク』へ」が外国語学院の会議室で行われました。

菅豊(Yutaka Suga):東京大学東洋文化研究所教授。日本と中国をフィールドに、地域社会における自然資源や文化資源の利用や管理のあり方、コモンズ論、無形文化遺産の管理論、伝統文化のトランス・ナショナリズムなど、多岐にわたる問題を学際的に研究しており、また、新しい野の学問や野の芸術論に関する理論的研究も行っています。

張士閃:山東大学文化遺産研究院副院長、儒学高等研究院民俗学研究所所長、教授、博士後期課程指導教員。『民俗研究』(CSSCI)編集長、中国民俗学会副会長、中国芸術人類学学会副会長などを兼任。主な研究分野は、村落研究、芸術民俗学、農村文化建設、無形文化財の保護及び民俗観光事業などです。

まず、菅教授はフィールドワークを、現実を「知る」ためのフィールドワーク、現実を「感じる」ためのフィールドワーク、現実を「創る」ためのフィールドワークの三つに分けて講演しました。そこでは定式化したフィールドワークの9段階について詳しく説明した後、ある80代の老人(実は張士閃教授の父親)が創った自宅の庭にある小さな「花墙」(透かし彫りが施された壁のこと)の話を皮切りに、「個人の体験を理解するためのエンパシーを伴うフィールドワーク」について事例分析を行いました。これは近年来張士閃教授が提案した「温もりのあるフィールドワーク」という概念に対する積極的な対応でもあります。張教授は自身の学術実践から、ここ数年、都市化が進んでいる中、山東省の農村地域の葬儀民俗が受けた衝撃に言及し、また、民俗学者としてそれらの問題を解決するために行っていた仕事に関して解説しました。地域の人々と平等の立場で話を進め、地域の人々の幸せのために、「文化的な共感」をもって現地に介入することが、これからの民俗学者のあるべき姿だという点で、両教授は意見が一致しました。


(文:趙楊 写真:王頤寧)